【ザ・逆面接】
人材の確保の難しさは組織の永遠のテーマといえる。
そして、残酷なことに、天才の生産性は一般社員の数百人分に値する。
そういう趣旨がパワポで示され、今年度の新卒採用から、
”逆面接”(最近流行りらしい)を我が社でも行う、
ということが人事部より提案され可決された。
「逆面接」とは文字通り、
面接を受ける立場の人が面接官となり面接をする立場の人に質問をする、
という面接方法で、受験者の質問力、問題解決力、積極性、度胸、独自の視点、
などを見極める意図で行われる。
会社としても初の試みであることと、受験生の心理負担を軽くするため、
今回の逆面接は従来のOB訪問の要素を取りいれ、
可能な限り大学の先輩後輩関係のペアで行われることになった。
数か月後、まさか、そんな展開になろうとは神のイタズラか。
僕は面接中に勃起し、目の前の受験生に勃起を悟られている、
という確信から小さく射精し、
スーツの表にシミが出来るのではないかという不安で、
顔が熱くなり、のどが渇き、天地が不明になるような感覚をおぼえ、
やがて逆面接中に五度の射精をすることになる、、、
とは誰が知ることが出来よう、、、
「ということで、マーケティング部志望のW大学はタジマ君よろしくね」
そう言って、人事部のカワセさんは僕に面接マニュアルを手渡して去っていった。
面接当日。
その日の受験生は1名。
予め手渡された履歴書には、見知った顔があった。
シオン!?
名前、出身中学、出身高校(いっしょに合格を喜んだ)、、、
シオンだった。
彼女、僕と同じ大学に進んだのか。
彼女とは5つ離れていた。
僕が大学入学当初に始めた家庭教師の生徒。
18と13だった。
あれから10年。
今は28と23、か。
「もしかして、タジマ先生ですか?」
「シオンさん、お久しぶりですね」
逆面接は実になごやかに始まった。
これだけ自然な会話になるのなら、互いに緊張もしないだろう。
シオンの逆面接審査通過は決まったようなものだった。
「もうこのまま、雑談になっても構わないですからね」
「そうですか、じゃあ、そうだな、タジマ先生、あ、もう先生じゃないんですよね」
今にも舌をペロッと出しそうな、ちょっと人をなめたような雰囲気は当時のままだった。
「今日は精液臭くないんですね」
「、、、えっ」
「当時みたいに、ポケットに手を入れてその手でしごいて射精しないんですか?」
受験生は履歴書の証明写真どおりのやや鋭利なアゴで、
会議室の長テーブルの上に置かれた面接官の”その手”を指して笑った。
一瞬、時が止まって、空間が回転したかと錯覚した。
「タジマ先生、何か答えてくれなきゃ面接になりませんよ?」
「あ、あ、えっと」
「なんですか?」
イスに掛けた受験生は背筋を立てて微動だにしない。
「知ってたんですか?」
「何をですか?」
脳の制御を無視して下半身が熱くなる感覚があった。
「その、ポケットに手を入れて、あの」
「ポケットに手を入れて、何?」トントン。
受験生はパンプスのつま先でトントンと床を叩き、その振動は面接官の亀頭に届いた。
「ポケットに手を入れて何?」トントン。
「オナニー。をしていたことを知ってたんですか?」
オナニーと口にした瞬間、液体が少し出た感覚があった。
「出たでしょ?今」トントン。
「、、、はい」
今、一番されたくないことがあるとすればなんですか、と受験生がたずねたら、
鏡をみること、と答えることにしよう。
面接官は質疑応答をシミュレーションした。
「わたし知ってましたよ、当時から、精液のにおいを」トントン。
「えっ?」
心臓はこの日最高の心拍数に達し、のどからは水分がすべて蒸発し、
長テーブルの上のペットボトルに手を伸ばしたがつかみそこね、
床に落ちたボトルはゴロゴロと転がってシオンのつま先で止まった。
「先生すっごい気になってたでしょ、私が処女どうか」
シオンはペットボトルを軽く踏みつけて、続けた。
「彼氏とかいないの?って何回聞かれたかな」
シオンはボトルをにらむようにして、続けた。
「遠回しに、私がオナニーをしているかどうかを聞くこともありましたよね」
ボトルはグニグニと踏まれ続けペキペキと音を立てた。
「『男子は下ネタがうるさいでしょー。下ネタどう?嫌い?少しは興味ある?』」
シオンはペキペキ鳴るボトルから視線を僕に移し、当時の僕の口調をまねた。
「『こんなマンガとか読んで濡れちゃってたりしてなーシオン』ギャハハハハハハ」
突然の高笑いに射精ではなく失禁しそうになった。
シオンは高笑いをピタリとやめた。
「タジマ先生、恥ずかしいですか?女の子に向けたクソ寒いセリフ」
僕はもう考えることを放棄して、あのペットボトルになることにした。
僕はペットボトル。僕はクリスタルガイザー。ペキペキ。
「ごめんなさい先生。責めるようなこと言って。
全然気にしてないし、当時も気にしてなかったんですよ」
パンプスの下でゴロゴロしていると、ストッキングから蒸れたにおいが届きそうだな。
「タジマおい聞いてんのか!こっからが大事なとこだぞ」
また少し液体が漏れた。
それが精液なのか、尿なのか、クリスタルガイザーなのか、
面接官にはもはやわからなかった。
「私マンガ読んで濡れてたよ。精液のにおいも知ってたし、味も知ってた。
それはね、タジマ先生と同級生だったサッカー部のワタナベさんの精液の。
ワタナベさんのチンポのにおいも、チンポがマンコをこする感覚も、
私の中でイって痙攣する振動も、タジマ先生が問題集解いてる私の斜め後ろで、
ズボンの中でコスってたことも、そのままズボンの中汚して震えてたことも。
知ってましたよ」
「知ってましたよ」
面接官は声をあげて異常な呼吸をしていた。
「ハァー、ハァー、ハァー、ハァー」
「いいですよ。あの時みたいに、ポケットに手を入れてもいいですよ。タジマ先生」
シオンは強くペットポトルを踏みつけ、例の、なめたような笑顔をこちらに向けた。
面接官はスーツのポケットが引きちぎれる勢いでペニスをしごき、
ハアハアという醜い呼吸音を昼下がりの会議室に響かせ、
立ち上がって、受験生に向かって歩いた。
グレーのスーツのそこは膨れ上がって、ほとんど失禁したように濡れていた。
「シオンさん、問題は解けましたか」
僕はそう言って彼女の斜め後ろで立ち止まった。
「まーだ」
「シオンさん」
僕はジッパーを下げて、ペニスを露出した。
先端は勉強机に向かう背中に向けて。
(なあ、シオン、チンポ見たことあるか)
(なあ、シオン、ほら、先生のチンポ見てごらん)
(なあ、シオン、どうしてこんなにチンポが立っているかわかるか)
(なあ、シオン、セックスしたことあるか)
(なあ、シオン、先生はセックスをしたことが)
(なあ、シオン、セックスしたことあるか)
(なあ、シオン、先生はセックスをしたことが)
「なあ、シオン」
「まーだ」
あの日々のように射精した。
精液は10年の時空を超えてシオンの髪の毛や首筋に跳ねた。
(なあ、シオン)
(私マンガ読んで濡れてたよ。精液のにおいも知ってたし、味も知ってた。
それはね、タジマ先生と同級生だったサッカー部のワタナベさんの精液の。
ワタナベさんのチンポのにおいも、チンポがマンコをこする感覚も、
私の中でイって痙攣する振動も、タジマ先生が問題集解いてる私の斜め後ろで、
ズボンの中でコスってたことも、そのままズボンの中汚して震えてたことも。
知ってましたよ)
面接官は異常な溜息を吐いて痙攣し、ヒザから崩れ落ちた。
「うわ、くっさ」
受験生の髪の毛から糸を引いて垂れる液体を見て、
面接官は自分の口から垂れるヨダレをぬぐった。
「当時もこうしたかったんですか?」
振り向いたシオンは首筋の液体を指でぬぐって鼻に近づけ、
しかめっ面をつくって笑った。
「はい」
「なつかしいかも」
シオンはしかめっ面のまま、そう言い、席を立った。
「タジマ先生おつかれさまでした、あ、もう先生じゃないんですよね」
僕は10年ぶりの快楽に全く身動きが取れなかった。
実際には満ちて引かない快楽に震えっぱなしだったのだが。
(了)
【ザ・逆面接】完
もしかしたら、つづく。
T様の変態な恋愛遍歴をクソストーリーにしてみました。
/(^o^)\
池袋トシマ・ローレンス 03-5954-0599