超電導ナイトブルース❤︎
- 2017/01/16
- 04:11
エアコンのリモコンを見失う。
よくあることだ。
テレビのリモコンに何かこぼしてしまってチャンネルが替えられない。
よくあることだ。
見失ってしまったものの正体は、周波数というらしい。
ここに音叉があるとする。
音叉はたいてい、ラの音をだす。
周波数は、440ヘルツ。
私が正しくラの声を出せば、音叉は震えだす。
これを共鳴という。
つまり、リモコンは共鳴を利用している。
ものには、固有の振動数がある。
最近では「癒やし」にすらあるのだと言われ、その周波数は528ヘルツ。
私が正しく528ヘルツの声を出せば、この喫茶店にいる人々は癒やしに共鳴し震えだす。
ミカは吹き出しそうになるのをこらえた。
私に人々が癒される、、、
店内を満たす人々の賑わいとジャズミュージックを切り裂く、私の絶唱。528ヘルツ。
吹き出しはしなかったが、口の端からダラダラとコーヒーや生クリームが垂れた。
ミカはかまわずにコーヒーを飲み、こみ上げる笑いにそのほとんどが口の端から垂れた。
コーヒーカップを口につけたまま店内を見渡すと、まず隣のスーツの男が目をそらした。
口や喉をナプキンでぬぐい、濡れてしまったブラウスと、読みかけの本-「あなたの周波数」(民明書房)-をおしぼりで拭いた。
「最近のスマートデバイスの進化は凄まじい。周波数学習アプリを使えば、スマホからエアコンを操作するなど簡単にできる。」
ミカは音読した。528ヘルツを意識して。
「読者諸氏のお手元にリモコン操作可能な電化製品があれば以下のアプリで試してみよう。」
まだ店内に癒やしの兆候は少ない。
私の周辺の者のみ、目を閉じる、退店する、といった具合か。
ミカはバッグから、遠隔操作タイプのピンクローターとそのリモコンを取り出し、スイッチを入れた。
トレイの上で本体が震えて回転し、スマホアプリは学習をすぐに完了したようだ。
リモコンのスイッチをオフにし、スマホでオンにすると、ローターは震えだした。
ミカは入店以来最大の笑顔で、コーヒーを口にした。
ローターが528ヘルツだったら。
そんな妄想も楽しい。
ローターが528ヘルツでなくともかまわない。
私の歓喜の周波数が学習され、公共の電波となる日も近い。
絶頂の周波数も提供しよう。
ミカは周波数学習アプリの学習モードをオンにし、おでこに当てた。
そして、ローターを自らの内部にいれ、リモコンを握りしめ立ち上がり、高鳴る心臓をなだめるように、528ヘルツが店内に行き届くように、穏やかに歩き、語った。
「みなさま。耳を澄まして。聴いて。」
「みなさま。耳を澄まして。聴いて。」
「みなさま。耳を澄まして。聴いて。」
ミカはリモコンのスイッチを入れた。
未だざわめく店内を、やがて満たすだろう振動。
「みなさま。みみを、すまっ、して。きい、て。」
ブゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン、、、
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お手合わせ🙏よろしくお願い申し上げます。
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